タイ便り(絵葉書から)⑧
1996.4.27(土) 晴れ
あまりにも明るい青空がありました。
今から約53年前、ここで連合軍の捕虜一万六千人、アジア人の強制労働者十万人が死ぬ事件があった所とは思えません。映画「戦場にかける橋」の舞台となった泰緬鉄道のクワイ河鉄橋です。カンチャナブリ戦争博物館にある当時の写真や絵により、悲惨な様子がよく分かります。これらを見る日本人には、辛いものがあります。
Vサインを出して笑顔で写真を撮っている若い日本人のグループがありました。自分にはとてもできません。彼らの後ろの白壁に大きくこう書かれてありました。“ Forgive But Not Forget ”(許そう、しかし忘れまい)
鉄橋の周りには、いたる所にブーゲンビリアのピンク色の花があります。戦争をする人間の愚かさを、そして数十年後にそこで笑顔で写真を撮る日本人の思慮分別の無さをこの花はどんな思いで見つめてきたのでしょうか。
ブーゲンビリアを前景にいれて、鉄橋の写真を一枚だけ写しました。
Bangkok にて